第8期ハイキング楽校前期総合実技山行「唐松〜五竜〜鹿島槍」

日 程  2011年9月17日(土)〜19日(月)
地 図    唐松岳(2695.8m)   五竜岳(2814m)   鹿島槍ヶ岳(2889.1m)   国土地理院地図閲覧サービス
目 的  森林限界前後の2000m〜3000mの山岳における、無雪期縦走の、リーダーを育成すること
内 容  唐松岳〜五竜岳〜鹿島槍岳を2泊3日で縦走、難場通過、持久力等総合実技
参考コースタイム <9月17日(土)>
鹿沼IC(3:30)=藤岡JCT(4:40)= 長野IC(6:10)= ゴンドラ乗場駐車場(7:20〜7:40)==リフト終点(8:20)・・・八方池(9:35)・・・扇雪渓(10:35)・・・ 丸山手前(11:10)・・・唐松岳頂上山荘(12:00)・・・唐松岳(12:15〜12:20)・・・ 唐松岳頂上山荘(12:35〜12:50)・・・牛首通過(13:10)・・・五竜山荘(15:40)
<9月18日(日)>
 五竜山荘(4:40)・・・五竜山頂(6:00〜6:25) ・・・G4通過(7:10)・・・北尾根の頭(9:10)・・・キレット小屋(11:20〜11:40)・・・鹿島槍ヶ岳北峰(13:35〜13:40) ・・・北峰基部(13:50〜14:00)・・・鹿島槍ヶ岳南峰(14:30〜14:50)・・・布引山(15:35〜15:45)・・・冷池山荘(16:30)
<9月19(月)>
冷池山荘(4:40)・・・爺ケ岳南峰(6:30〜7:00)・・・種池山荘(7:30〜7:50)・・・扇沢出合(10:30)=信濃大町駅(11:10〜12:05) =白馬駅(12:45〜13:10)=ぽっかぽっか美麻(入浴13:30〜14:40)=長野IC=藤岡JCT=鹿沼IC(19:30)
         (凡例 = 車又は交通機関、 ・・・歩行)
参加者       参加者9名(講師含む)
投稿者    宇都宮HC:野村 久(コースタイム記録)、田中康寛(1日目)
   マロニエHC:中田芳夫(2日目)、中沼義江(3日目)
   
 第8期ハイキング楽校もいよいよ前期総合実技山行です。これまでの訓練の成果を踏まえて、北アルプス 後立山連峰の唐松〜五竜〜鹿島槍縦走山行に行ってきました。

<1日目:天候 :時々雨>
 1日目は、白馬への移動と雨の中を唐松岳〜五竜山荘への登リです。楽校生が感想文を書いてくれたので、 以下、読んでください。

【前期総合実技山行山行(唐松岳〜五竜山荘)感想文】   宇都宮ハイキングクラブ  田中康寛
*写真をクリックすると大きくなります。
 今回の山行はハイキング楽校のメインイベント。北アルプス自体が始めての私は、5月の入校当初からとても楽しみにしてきました。
 いよいよ当日早朝。AM3:30の集合・出発予定でしたが、私は勢い余ってAM2:30に到着してしまいました。 待つことしばらく・・・。時間までに参加者全員が集合し、北アルプス目指して出発しました。
 しかしながら、迫りくる台風の影響で天候は大雨。群馬県内に入るころには、いっそう激しさを増し、 走ること約4時間。ようやく白馬村に到着しました。

 雨は弱まり気にならないほどになりましたが、悪化を予想し雨具着用で登山を開始しました。まずは、唐松岳を目指します。
 八方尾根からリフトを乗り継ぎ頂上へ。初めての北アルプスを一歩一歩登り始めました。そして、唐松岳頂上山荘へ到着。
 このころには天候も回復し、頂上へは空荷でむかいました。眼前には山名は分からないけど、 とにかく厳つくかっこいい山々が見えました。これがあの立山〜劍岳だと知ると、興奮度は最高潮に達しました。
 縦走は始まったばかりですが、次はあの山へと心に決めました。また、よく見えなかったものの、白馬岳方面には不帰キレットが。 名前がかっこよくて、ここもいつかは越えてみたいと思いました。

 午後は大黒岳から白岳を越えて、今日中に五竜山荘まで行かなくてはなりません。この縦走路は岩場と鎖場ばかりです。 更に、一時降りやんでいた雨もまた降リ出し、滑りやすく、高所恐怖症の私は、二本の足だけでは不安で、常に両手も使うため、 なかなか上手く歩けませんでした。それでも、午後4時少し前にようやく五竜山荘へ無事到着です。

 3連休の初日ということもあり、山荘は大混雑していましたが、グループ9人で1部屋貸し切りとなり、 気兼ねなく体を休めることが出来ました。夕食は、名物スコッチエッグ付きのカレーライス食べ放題です。 お替りは1回でやめておき、ちょうど良い腹具合で団欒となりました。 悪天候の場合には五竜岳で引き返し下山するとの八木沢CLのお言葉があったが、天気予報では明日は回復するようだ。 山の話題は尽きないものの、明日も4:00起きのため、早めに床に着いたのでした。

 
唐松岳山頂にて 唐松岳山頂にて
山頂からの唐松岳頂上山荘 山頂から見る帰らずの嶮方面
頂上山荘からの唐松岳 唐松岳から戻ってくるパーティ
唐松岳を背景にして 大黒岳付近にて出会った雷鳥

<2日目:天候 :晴天>
 2日目は、五竜山荘〜五竜岳〜キレット小屋〜八峰キレット〜鹿島ヶ槍という縦走の核心部です。 以下、楽校生の感想文を読んでください。

【前期総合実技山行山行(五竜岳〜鹿島槍岳)感想文】   マロニエハイキングクラブ  中田芳夫

*写真をクリックすると大きくなります。
 今日は、今回山行の核心部である五竜岳からキレット小屋、鹿島槍ケ岳(北峰・南峰)を経て冷池山荘までのハードな コースである。
 4時に全員起床し、五竜山荘玄関前広場でストレッチ後、4時40分に出発した。

   昨日までの雨が嘘のような満天の星空の下を、全員がヘルメットとカッパ上衣を着用しヘッドランプの灯りを頼りに 漆黒の尾根道に歩を進めた。
 暫くして後を振り向くと、昨夜お世話になつた[五竜山荘]の灯りが眼下に見え、 更に尾根伝いを上方に目をやると[唐松岳頂上山荘]の灯りも見ることが出来た。
 その後、左手の空が薄茜色に染まり始めるとかなり視界も開け、気がつくと眼下には綿を敷き詰めたような雲海が 遠くまで静かに広がっていた。 右手には間近に立山連峰が鴛え立ち、憧れの剣岳が険しい山容を見せていた。  やがて雲海上に太陽が顔を出し始めその美しさに息をのむ思いであった。山をやり始めて一年未満の自分 が今ここにいることが信じられない思いであり、この美しい景観は辛く苦しい山行に対する自然のご褒美なのかも しれない。

 登山道は尾根道、巻き道を繰り返しながら徐々に斜度はきつくなり、喘ぎながら登るとようやく五竜岳山頂 に着いた。
 山頂からの眺望は360度全てが見渡せ、南東方向には富士山の雄姿が遠く望まれ、その左には八ヶ岳が右に は南アルプス連峰が影絵のように黒く雲上に浮かんでいた。山頂にて素晴しい展望を楽しんだ後、山荘で作ってもらった朝食(弁当)を 摂った。

 いよいよ五竜岳山頂からキレット小屋へ向けて急なガレ場を下る。ここからのG4、G5の岩峰帯とキレット小屋先の八ツ峰キレット の通過が核心部であり、一番(転・滑落)の危険箇所でもある。
 ここで、昨夜、山荘でのミーティングにて八木沢CLの「明日も雨ならば五竜山頂まで行つて戻りましょう」との言葉を思 い出した。今回のコースの中で一番魅力のある場所であり、また一番危険な難場通過だからだろうか? 八木沢CLの顔つきが少し厳しくなつたように思え、緊張する。
 八木沢CLを先頭に概ね初心者から経験者の順に最後部は吉岡SLが岩場を降りて行く。このとき 八木沢CLの立ち位置も参考になつた。先頭から3人目が安全に降りたのを確認し次の箇所に移動し、4人日以 降は吉岡SLが確認するといつた状況である。

 岩場は、手懸り・足懸りはじつかりしており降りやすい岩場であつたが、下を見ると恐怖感があり慎重に降りた。ま た常に落石の危険性があり緊張の連続であつた。その為か実際の時間よりも長く感じられた。
 それに辛い思いをしてせつかく登ったのにキレット小屋に向つてかなり降りるということで、その分また登り返す 辛さを考えるとうんざりする思いであつた。

 キレット小屋で一息つき、いよいよ最大の難場である八峰キレットにさしかかった。ここも周辺景観の視覚から受ける 恐怖感はあるが、慎重に降下すればそれほど難しい場所ではなかつたと思う。
 喘ぎながら鹿島槍ヶ岳の鞍部まで登り着き、ここにザックを置き北峰にビストンアタック後いよいよ南峰の 上りにかかった。そしてついに南峰山頂に立ったとき八木沢CLが全員にハイタッチをしてくれ、その表情は いつもの柔和な顔に戻ったようでした。難場をトラブルもなく、無事通過し終えた安堵感なのでしょうか?
 辛く長い1日を振り返り、1年未満の山行経験者の自分が(五竜岳と鹿島槍ヶ岳)を走破できたことに感激を覚えるとともに、自信 にもなつた。山頂からは今晩泊まる(冷池山荘)が眼下に見え少し緊張感がゆるんだ。
 しかし、ここから布引岳を経て冷池山荘までの道のりはとても長く、行けども、行けどもなかなか山荘には辿り着か ないもどかしさを感じられた。  五竜山荘を出発してから12時間後の午後4時半に、ようやく冷池山荘に到着したときは全員の顔にも安堵の色が見られ、 自然に笑顔になつていた。そしてメンバー間の絆も強く感じられるようになった。
 私にとっては厳しかった一日であつたが、それだけに感動と自信と多くのことを学ばせてもらい、八木沢CLや吉岡SL には感謝申し上げたい。

 ここで私の経験した失敗談と教訓をいくつかあげてみたい。
 1つ目は、八木沢CLの通つた跡を3人目迄は忠実に辿ったが、 4番目の私は別ルートの方が楽なルートと判断しそのルートを降りている途中に落石を起こしかけた。 幸い落石は防止出来たがやはり勝手にコースを変更しない方が良いことを学んだ。
 2つ目は、ガレ場を降りている時に八木沢CLから「登つてくる人がいるので登り終わるまでここで待ちましょう。」との 指示があつた。下を見ると20m程下を登つてくる登山者が見えた。八木沢CLに「距離があるのに待つんですか?」と質 問すると、「落石の危険性がある場所では待つべきでしょうね」との答えがあつた。
 3つ目は、長時間の岩場通過に慣れたためか、八峰キレットを通過中につい雑談をしてしまい、八木沢CLから 「おしゃべりはやめて岩場に専念しましょう」と注意を受けてしまいました。

 今回の総合実技山行で学んだことを要約すると、「目配り、気配り、耳配り」そして「危険と判断したら無理をせず 引き返すこと」 なのかなと思います。
 八木沢CLが、先頭を歩きながら後を歩いているメンバーが今、どのような状況にあるのか常に把握しているのにはさ すがだなと感服しました。本当に勉強になつた前期総合山行でした。ありがとうございました。

 

 
太陽が雲海から顔を出した瞬間 登ってきた五竜山荘方面を振り返る
五竜岳山頂はまだ遠い 山頂手前の岩場を登る
山頂付近から五竜山荘を振り返る 五竜岳山頂にて記念撮影
五竜岳山頂にて 山頂からザレた急斜面を下る
ザレた急斜面を慎重に下る 切り立った細尾根を通過
あれがG4、G5の岩峰群 G4からG5へ向う
G5を通過 G5を下る
間近に剱岳の雄姿が・・・ キレット小屋手前からの鹿島槍への稜線
キレット小屋が見えてきた 難場八ツ峰キレットに入る
急斜面をトラバース 梯子、鎖を頼りに難場通過
北峰への長い登りが始まる 喘ぎながらひたすら登る 北峰、南峰分岐手前のトラバース 北峰、南峰分岐にザックをデポ
鹿島槍ヶ岳北峰にて 鹿島槍ヶ岳南峰にて
   



<3日目(最終日):天候 :晴天>
 3日目は、冷池山荘〜爺ヶ岳〜種池山荘〜扇沢に下りて、JR大町駅〜JR白馬駅に戻り車で帰宅という最終日です。  以下、楽校生の感想文を読んでください。  

【第8期楽校 前期総合実技山行山行(冷池山荘〜爺ヶ岳〜扇沢)感想文】
                                    マロニエハイキングクラブ  中沼義江

*写真をクリックすると大きくなります。
 今日は、爺ケ岳に登って、種池山荘経由で扇沢に下ります。  5時出発ということで、準備し、ストレッチ体操完了で早めに出発できました。   個々にヘットランプを付け、足元を照らしながら爺ケ岳に進みました。   空を見上げればたくさんの星、前方にはオレンジ色の輝く朝の光が雲海の中から糸   を引くように見えています。山小屋を出るとすぐ登りです、 昨日とは違い歩きやすい登山道です。  オレンジ色の朝日を受け、いっぽ、一歩 登りました。   爺ケ岳を登れば、後は下りの連続になります。   右手には剣岳 立山連邦 がすぐ近くにあり、左手には雲海が一面に広がり遠くに   南アルプス そして あの形 富士山です。なぜか山に登り富士山が見えると すごく嬉しい私です。私達の、足元先には雷鳥も散歩していました。   爺ケ岳の頂上に立つと、360度の展望です。スバラシイの一言、 上手く表現できませんが、いつまでもここに居たい思いに、かられます。 二日間、大変な思いをして登ったご褒美か、この絶景が疲れを忘れさせてくれます。 昨日 今日と天候に恵まれ 雲の上を、歩いた私達です。 頂上で朝食を済ませ、種池山荘を目指します。 五竜、鹿島槍、爺ケ岳の山々の思いを胸に、一歩、一歩 慎重に柏原新道を 下りました。 素敵な山仲間に恵まれ、忘れられない山行になりました。   皆様に 自然に感謝したいと思いました。ありがとうございました。                                中沼義江

 

 
夜明けの鹿島槍ヶ岳と冷池山荘 夜明けの稜線にて休憩
爺北峰トラバース道にて 朝日に輝く鹿島槍ヶ岳
爺ヶ岳山頂にて 種池山荘にて休憩

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