第6期楽校開校式及び古賀志山実技山行

   日時:2008年5月24日(土)〜25日(日)
   
第1日目
(24日)
開校式  場所:宇都宮市森林公園管理センター
机上講習 ・登山ハイキングの服装と装備、ザックパッキング(大貫主任講師)
・自分の体を知る、運動生理学(矢崎辰雄講師)
・安全で疲れにくい歩行法・アクシデント対策等(大貫主任講師)
ミーティング
兼懇親会
 場所:サイクリングターミナル
第2日目
(25日)
実技講習  服装・靴の履き方・ザックパッキング・アクシデント対処法等
     場所:宇都宮市森林公園管理センター
古賀志山実技山行  ストレッチング・ストック活用法・疲れにくい歩行法等

<1日目(開校式)>
今年も第6期ハイキング楽校が開校されました。
   以下、ハイキング楽校生の記録・感想文を読んでください。

 <開校式、古賀志山実技山行 記録・感想文>     宇都宮ハイキングクラブ 鏑木 恒朗
*写真をクリックすると大きくなります。

 5月24日第6期ハイキング楽校が開校されました。八木沢校長、大貫主任講師、吉岡事務局の各氏と 20名の受講生でスタートとなりましたが、受講生の内の6名は継続受講者であり、実技指導や運営の手助け をして頂くとの紹介がありました。
 まず、大貫主任講師から、日本の登山は修験者中心に始まったとの登山の歴史についての概要説明がありました。 更に、日本の登山界の現況についてのお話があり、現在、我々が属しているのは日本勤労者山岳連盟(労山) であり、ハイキング楽校の誕生からこれまで5年間の歩みについての説明もありました。

<講義1:装備と服装>
 3大装備である登山靴、雨具、ザックを中心に、大貫主任講師がこれまで50余年の山暦で蓄積された登山用具に 関する知見を披露された。私が特に参考になったのは、以下の3点である。
 @登山靴は、無雪期であっても足首捻挫を防ぐため、踝まで保護されるミディアムカットが良い。踵を保護 するために中敷きはソルボインが良いとのことであった。また、靴底にウレタン系ゴムを使用している登山靴は、 靴底の汚れの酸性成分がゴムに浸透し接着材を劣化させ靴底がはがれることが多いので、手入れが大切である。 紐は平紐が丸紐より緩みにくい。また、靴に目印をつけておくと山小屋泊の時便利である。
 A雨具は、防水透湿加工素材のものが必要である。ゴアテックス、エントラント(商品名)などである。2層、 3層のものが商品化されている。洗濯は可だが、脱水機にかけると層が分離するのでやらないこと。
 Bザックは、日帰り容量20〜25リットル、小屋泊30〜40リットルで十分である。必ず携行すべきものは 以下の通りである。
・行動食、水筒、ブドウ糖、コンパス、地図、雨具、手袋、サングラス、首回り等の日よけ、箸、コップ、新聞紙、 薬、健康保険証の写し、ナイフ、ライター等
 
服装と装備について講義される大貫主任講師
登山靴について講義される大貫主任講師

<講義2:山を快適に歩くための運動生理学>
人間の身体と登山ハイキングとの関連を科学的に捉えた矢崎講師の講義は、ストレッチの実技(足首捻挫防止、 膝回し、体側伸ばし、大腿、首、手首等)から始まった。要点は以下の3点である
 @歩行中の怪我の部位は、足首(32%)>手首(16%)>前腕(9%)>膝(8%)であり、発生時は下り (77%)>上り(12%)で、足首と下りが圧倒的に多い。従って、準備運動はこれらの部位を中心に行うと良い。
 A安全山行には、歩き始めに喉の渇きがなくても50〜100t程度の水分を補給するのが効果的である。 また、行動食は炭水化物(糖質)主体にして、消化に時間がかかる脂肪やタンパク質は避けたい。90分前後で行動食 をとると良い。特にきついハード山行では市販のウイダーやバーム、アミノジェット等も効果的である。しかし、 タウリンを含むドリンク剤は体温を上げるので、気温の高い夏には使用してはならない。
 B歩行力向上のためのトレーニングには、下記メニューを続けること。
・呼吸能力向上・・・30秒以上の息吐き、ゴムふうせん膨らませ(1日数回)
・着地衝撃緩和・・階段で片足に体重を乗せ着地する足に衝撃がないように
           下ろす。(1回10段、週3日)
         ・・カカト(踵)をつかないで歩く(1日1分間)
・持久力向上・・・2時間以上休憩なしで歩く、山行が良い。(1ヶ月1回以上)
・荷重歩行・・・・20〜40kgのザックを背負って歩く(1分間、屈伸1回、週1回)
 中高年の身体は、保障期間を過ぎている状態にある。 中高年の健康維持に必要な適度な運動として山歩きはもっともふさわしいスポーツであるのこと。
                       (鏑木 記)
 
山を快適に歩くための運動生理学について講義される矢崎講師
講義される矢崎講師

<ミーティング兼懇親会>
 本日の宿泊先であるサイクリングターミナルにてミーティング兼懇親会が行われました。 まず、八木沢校長の挨拶があり、最初は初対面同士でぎこちなかったが、続いて全員の自己PRが行われる につれて垣根もなくなっていき、楽しい懇親会になりました。
 山談義で話が弾み、更に山の歌で大いに盛り上がり、予定時間をオーバーしてしまいました。
 
浜ちゃん作の歌集のお陰で盛り上がった山声喫茶
<2日目古賀志山実技山行>
 あいにく、朝から強い雨、予報では午後から回復するとのことなので、午前中の実技講習は 開校式会場(宇都宮市森林公園管理センター)を借りて実施した。午後は古賀志山にて実技山行を 行うことができた。
   以下、ひき続き記録・感想文を読んでください。
*写真をクリックすると大きくなります。
<午前中の実技講習>
概要は以下の通り
(1)靴の履き方は、踵を靴背に密着させ、靴
   ひもを締めるとき上部は上から下に紐を
   掛けると緩みにくい。また、長すぎる紐
   は切って適当な長さにすると良い。
   (足首に巻きつけない)
(2)ザックパッキングの基本は、携行品を一つ
   一つできるだけ小さくまとめること。そして、
   左右のバランス、天候、使用頻度などを
   考慮して順番に詰める。一般的に重いもの
   は上にする。
(3)テーピング、レスキュー法については、
   足首捻挫への対応、ストックを使った
   松葉杖作り等の実技指導を受ける。

<午後の古賀志山実技山行>
 ストレッチ後北登山道を富士見峠に向う。昨日の矢崎講師の指摘通り、最初(1〜2ピッチ)はゆっくりだ。 途中の斜面にて、歩行法の実技訓練を実施後、富士見峠にて、ストック活用法の実技訓練を実施した。

靴の履き方について実技指導される大貫主任講師
足首捻挫への対応(スリングによる足首固定法の訓練)

ザックパッキングについて指導される大貫主任講師
ストックを使った松葉杖作りの訓練

(4)疲れにくい歩行法・・・登り、下りとも歩行法
   の基本は、膝前、腰前、へそ前である。
   腰は斜面に平行移動で小股歩行を心が
   ける。(足の親指付根に荷重を意識)
 なお、大貫主任講師から、「昼食時以外は、体が冷えるので長い休みは取らない。休憩時間、出発時間を明確にする。 外気温は高度100mで0.6度変わり秒速1mの風で1度下がる為、気温、風等により衣類脱着をこまめに行う。 山中は登り優先。パーティが多人数の場合は班分けを行うなど隊列の組み方に配慮する。」などリーダーになった 場合の留意事項についての指導があった。

(5)ストック活用法・・・ストックは、2段目を伸ばしておき、1段目で身長に合わせて調節する。登りは短く、下りは 長くして使用する。特に段差のある下りは、ストックを前に伸ばして支え、滑るような感じで下る。 ストックは、下から手を通してきつく握らない。特に登りの場合には、ストックを握ると無意識の内に上ってくる後続者 の目の位置にストックの先端が行き非常に危険である・・・など納得することばかりでした。  
 
疲れにくい歩行法ついて実技指導される大貫主任講師
登り、下りの歩行訓練A
 

登り、下りの歩行訓練@
 
登り、下りの歩行訓練B
 

ストックを使った下り方ついて実技指導される大貫主任講師
 
ストックを使った下り方の訓練@
 
 
大きな段差の登りでのストック活用法ついての指導
 
ストックを使った下り方の訓練A
 
 
<全体の感想>
 充実した2日間でした。”なるほど、なるほど”講義を聞いても実技指導を受けても、この言葉しか出てきませんでした。
講師の先生の分かりやすく丁重な指導・・・。そして、事務局や講師の間に立って運営や指導にきめ細かな気配りをしてくれた 先輩受講生のお陰もあり、講師と受講生の一体感(昼も夜も)は素晴らしかったです。  学んだことを整理して確認したいとの思いがあり、時間的には前後する記述もでてきて、らしくない感想文になってしまいました。 2日間の学びをこれからの山行、毎日の生活で習得していきたいと思っています。
                                     (鏑木 記)

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