直線上に配置

09年度県連 「涸沢交流合宿(登攀) 」

日 時  2009.9.19(土)〜23(水) ランク   C
地 図    前穂高岳 (国土地理院1/25000)
    北穂高岳 (国土地理院1/25000)
参加者  A班:S和栄(CL南那須山楽会)、U木雅人(野木山想会)、H谷 智(マウントアンサンブル)
 B班:Y木沢M通(SL)、K嶋T武、Y岡M徳、H瀬N子、S 渉(以上宇都宮HC)
      計8名  
概 要  栃木県勤労者山岳連盟主催の登攀技術の継承を目的とした、涸沢テント泊交流合宿を実施した。 今回の合宿は、09年3月の総会にて提案された県連行事として、足尾ジャンダルムでの合同登攀訓練等 を経て、実施されたものである。
参考タイム <9月19日(土)>
壬生IC(15:30 )=佐野IC=大田IC(16:30) =沢渡駐車場着(20:30テント泊)
<9月20日(日)>
起床(5:00)=沢渡駐車場出発=上高地バスターミナル(7:10)・・明神・・徳沢・・ 横尾(10:15)・・本谷橋(12:00)・・・涸沢(14:30) テント設営テント泊
<9月21日(月)>
涸沢(2:30〜4:00)・・・北尾根5・6のコル(5:30)・・・3・4のコル(7:00)〜 渋滞待ち)〜1パーティ目3峰取りつき(9:00)・・・最終パーティ前穂高山頂着 (12:10)・・・14:50 奥穂高岳(14:50)・・・奥穂小屋(16:00)・・・テント場着(18:00) 交流会、テント泊
<9月22日(火)>
◆(滝谷ドーム組)涸沢(4:00〜6:00)・・・北穂高(9:00) 雨により登攀中止下山
◆(北穂高東尾根組)涸沢(5:00〜7:00)・・・滝谷ドーム組と梯子場上部で合流、登攀中止(10:00)
  ・・・下山12:00頃 テント場着、15:00〜交流会、テント泊

<9月23日(水)>
涸沢テント場(6:00〜7:00)・・・ 横尾(9:40)・・・徳沢・・・明神・・・ 上高地バスターミナル(12:20)=沢渡=(入浴)=栃木
      (凡例 = 車又は交通機関、 ・・・歩行)
投稿者    S 渉  

  【概 要】
 9月19日(土) 栃木〜沢渡駐車場
9月19日 午後から出発。足利で最終的に8名が乗用車2台に分乗し、上高地の玄関口である沢渡(さわんど) に向かう。沢渡駐車場にてテント泊。

 9月20日(日) 沢渡〜上高地〜横尾〜涸沢
時半頃起床の予定が、みなさん、気持ちがはやるのか、早めに起きだす。快晴の澄んだ空。荷物の分担と装備の確認を行い、 パッキング、沢渡を2台のタクシーに分乗して、上高地へ向かう。
上高地で登山届を出して出発。途中、屏風岩で、登攀中の2パーティを発見。いつかは登るぞ!と思う。本谷橋からは 登山者が非常に多く、蟻の行列のように、切れ目なく、涸沢に続く。 予定通り、14:30に涸沢着。テント場が混雑していてスペースがなかなか見つからない。やや上部の雪渓そばに ようやく2張り分を確保することができた。 今 回のメンバーは、ゲレンデでは訓練してきたが、いわゆる本番が初めてが8人中、私を含め5名。期待と不安が 交錯した夜を過ごす。7時には寝支度を行う。   
                          *写真をクリックすると大きくなります。
  

横尾大橋にて

屏風岩

涸沢テント場に到着
  

雪渓の脇にようやくテント1張り設置

少し奥の上部に2張り目のテントを設置

涸沢の混雑するテント場
  
 9/21(月) 前穂高岳北尾根登攀〜前穂高岳〜奥穂高岳〜奥穂高岳山荘〜テント場へ戻り

 いよいよ本番初日。満天の星空。条件的には申し分がなさそうである。予定通り、4時丁度に、真っ暗の中を出発する。 最初は、ゴーロの不明瞭なルートを30分ほど登る。踏み跡にでると、5・6のコルへ向かうにつれ、徐々に斜度を増す ガレ場となる。振り返ると、涸沢のテン場は、ほとんどが出発のために起床しており、中で照らされたランプがテント 自体をが色とりどりにランタンのように、ぼんやりと光らせており、幻想的な美しい光景を作っていた。  しかし、足元は、ガレの崩れやすい斜面。慎重に登る。同じコースをいくであろうパーティが3パーティは確認できる。 徐々に明るくなり、いつしか輝いていた星は消え、青空が広がる。
 ようやく5・6のコルに着くが、丁度御来光であった。奇麗にオレンジ色の太陽が昇ってきた。その右手には、 富士山や南アルプス。振り返れば、涸沢カールの周りに、穂高連峰、その先に槍ヶ岳、さらに奥に後立山連峰も くっきりと見える。
                          *写真をクリックすると大きくなります。
  

ようやく5・6のコルに到着(背景は5峰)
 

5・6のコルから見る御来光
 

振り返るとテント場上部の涸沢小屋が見える
 小休止のあと、5峰に登る。ロープを出すほどでは無い。4峰は尾根沿いを行き、途中左へトラバースするが、 そこからのルートがややわかりにくく、ルートを探すのに手間取る。結局、そこから直登し大きな石を回り込む と4峰ピークであった。                             *写真をクリックすると大きくなります。
  

いよいよ5峰登攀開始

5峰を登攀

5峰頂上付近から4峰を仰ぐ

4峰登攀を開始

慎重に左へトラバース(4峰)

ルートを確認後、ここを直登

大岩の右を回り込むと4峰ピークへ

3・4のコルへ下る。
                          *写真をクリックすると大きくなります。

北尾根登攀の核心部である3峰

3・4のコルにて
   そこから十分な広さをもつ3・4のコルに着いた。  ここからが本格的な登攀。2パーティ以上が既にとりついていた。順番待ちのパーティがおり、我々も、しばらく 待つことにする。前のパーティがとったルートを観察したり、装備や登攀手順の再確認、腹ごしらえなどをして、 長い待ち時間の後、いよいよ、我々の番だ!
 パーティは、1組目が、S和栄、H谷智、U木雅人、2組目がY木沢M通、K嶋T武、H瀬N子、 3組目が、Y岡M徳、S渉(敬称略)。 1組目は、H谷さんがリードで登り始める。やや緊張の様子が下からもわかる。 2組目は、Y木沢さんがリードで登る。

1組目はH谷智、S和栄、U木雅人

2組目はY木沢M通、H瀬N子、K嶋T武
   3組めは、2人パーティなので、つるべで登ることにし、始めは私がリードで登る。いくつかコースがあるが、 最初は右のクラック沿いに登り、次はリッジへ。リッジは、ホールドがやや細かく、緊張するが、思い切って登って クリアすることができた。ハーケンの中間支点は比較的多く、安心だった。1ピッチ目の終了点は、岩角でアンカーシステム を作る。セカンドとのやり取りは、声がよく通り、スムーズだった。また、穂高連峰の雄大な眺めの中の快適な ビレイであった。2ピッチ目は、Y岡さんがリード。右のやさいい凹角ではなく、一番左のチムニーに。順調に登っていく。

1組目はH谷さんがリードで登攀開始

2組目はY木沢さんがリードで登攀開始
   フォローをするが、順調な見た目ほどやさしくなかった。チムニーといっても、ややホールドの細かいフェース状の ところがあり、高度感もあり、リードでは緊張しそうなところだった。ピッチ終了点には、いくつも支点があり、 複数のアンカーシステムを作ることができた。3ピッチ目は、始めだけ垂直に近いが、しっかりしたホールドが多く、 難なくクリア。あとは斜度がゆるく、ほとんど手を使わずに登れる。終了点は、やはり岩で。ここも眺めが良い。 4ピッチ目はやや短く、ややオーバーハング気味のところがあるが、小さく、さほど難しくない。気がつけばここが、 3峰の頂上だったようだ。5ピッチ目はコンティニュアスで稜線歩き。6ピッチ目は、短かいが、切れ落ちており、 慎重に越す。ここの終了点が2峰の頂で、懸垂下降の支点でもあった。

2峰の頂から懸垂下降を終えた3組目のS渉

前穂高岳山頂にて記念撮影
       すでに、前穂高の山頂にH谷さん、U木さん、Sさんがくつろいでいるのが見える。ここを慎重に降りれば、 もうロープは不要。岩を越すと、Y木沢さん、K嶋さん、H瀬さんが見える。Y岡さんに続いて、ひょっこりと山頂にでる。 「やったー!」。まず、ザイルパートナーのY岡さんとがっちり握手。そして、全員と握手。こんな気持ちの良い山頂への 到着の仕方はいままでにあっただろうか・・・。

吊尾根からの前穂北他尾根

テントに集まり、祝杯
 

語らい、食べ、飲んで、話は尽きない。
 ここまでの登攀を反芻(はんすう)しながら、各自、食事と身支度。奥穂高岳を経由してテント場に戻る。途中、 奥穂高山荘の梯子場がまれにみる大渋滞で1時間近く待ち、帰りが遅くなる。  涸沢小屋でビールを買い、到着するや否やテントに集まり、祝杯。普段たくさんは飲まないK嶋さん、Y岡さんまで ビールをおかわりし、皆、頬の緩みを止めることができない。 それにしても、リーダーSさん、サブリーダY木沢さんの初心者を大勢連れての心労は、大きかったのではないかと 察するに、感謝感謝。そして、皆、トラブルもなく工程を終えることができて本当によかった、よかった。  その後も話は尽きないが、明日もあるので、2つのテントに分かれて食事。そこからも話は尽きない。Sさんのテントは、 気がつけば、南那須山岳会、マウントアンサンブル、野木山想会、宇都宮ハイキングクラブと全員違う山岳会。 そのメンバーが、全く違和感なく、旧知のようにテントの中で、語らい、食べ、飲んで、また次の山を夢見ている。 そういえば、これは交流合宿だったんだ・・・。まるで、一つの会での集まりのようだった。  明日も楽しみだ。心地よい疲れに誘われて、早めに寝ることにする。
    9/22(火)
  ◆滝谷ドーム中央稜登攀組(A班):テント場・・・北穂高・・・雨により登攀中止下山
  ◆(北穂高東尾根組)(B班)  :テント場・・・滝谷ドーム組と梯子場上部で合流・・雨により登攀中止下山

 テント場に戻っても時間を持て余し、3時から交流会。初谷さんが持ち上げた樽酒などを賞味する。各自温存してきた チャーシューやソーセージやつまみを出し合い、豪華な宴となる。
 話題はやはり、山。「来年は、北岳バットレスが良い」とか「東尾根は、自主的に来よう!」「今回来れなかった人 もいるので、次はその人たちも一緒に」などと、次の計画が決まっていくのであった。寝るのが惜しい夜であった。

 9/23(水)
 涸沢・・・ 横尾・・・徳沢・・・明神・・・上高地バスターミナル=沢渡=(入浴)=栃木

テント場からの涸沢小屋と北穂高岳

テント撤収、名残惜しい

河童橋にて
 
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