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自主山行・米ヨセミテ国立公園トレッキング(キャンピングカーをベースに)

日 時 2007.6.27〜7.10 天 候  快晴
目的  ○ヨセミテ国立公園の代表的トレール(登山道)を歩き、美しい自然と触れ合う。
 ○大形キャンピングカーをベースにしたトレッキングの有効性を体験する。
参加者  S崎S二、O野R司、M田I(記) (以上、UHC:栃木労山)
 I雪M夫(エルブルース・アコンカグア同行者、趣味:トライアスロン、あゆむ山の会:埼玉岳連)
 T澤S江(県連登山学校の仲間、野木山想会:栃木労山)
 Y崎M一(エルモンテRV社 日本総代理店)      総勢 6名


 この度、大型キャンピングカーを利用して、ヨセミテ国立公園のトレッキングを楽しんできました。 この時期のヨセミテは天候も良く、美しい自然に溢れています。 又初めての試みでしたが、 キャンピングカーをベースとするトレッキングは、機動性が高く便利で廉価なことが分かりました。  まだ日本人には馴染みが薄いですが、将来こんなトレッキングが増えるように思われます。   そこで これらの概要を簡単にご紹介いたします。
ヨセミテ国立公園とは
 カリフォルニア州の東部にあるアメリカを代表する国立公園で、サンフランシスコから車で約5時間。 世界遺産第一号で面積は茨城県の半分(3045?)。 中央には氷河で削られたU字谷が東西に延び、 その谷底がヨセミテバレーと呼ばれている。

そこにはハーフドーム、エルキャピタンなどの岩峰やヨセミテ滝、ネバダ滝など多くの見所がある。  公園の94%は森と湖と岩(花崗岩)の手つかずのバックカントリーであり、東はシェラネバダ山脈上 にある。 ヨセミテはハイキングのメッカとも言われ、湿原散歩の初心者コースから、何日もかけてシェラネバダ を縦断するジョン・ミュアトレールまで、全長1300kmにも及ぶハイキングコースがある。  
 
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ヨセミテの地図

 サンフランシスコからキャンピングカーでヨセミテへ
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私達が利用したキャンピングカー スーパーマーケットでの買出し

  ヨセミテ公園入口の看板  トンネルビュー、奥の尖りがハーフドーム
     私達が成田を発ったのは6月27日午後4時、約9時間のフライトでサンフランシスコ国際空港に到着、 時差の関係で現地時間は同日の午前9時過ぎだ。
   梅雨時の日本から来た私たちにとって、こちらのカラッとした天候は実にありがたい!  この日のうちにエルモンテ社でキャンピングカーを借りる。 全長9.4m、6800ccガソリンエンジンで 定員6名。 大型バスを少し小ぶりにしたサイズだが、日本の国際免許証(普通車)で運転が可能である。  車内には洗面台、シャワー、トイレ、台所セット、大型冷蔵庫、ガスオーブン、電子レンジ、人数分の 簡易ベッドなどがあり、一寸したホテルといったところ。
   早速近くのスーパーマーケットに行き、ビール、ワイン、飲料水、肉類、パン、野菜などの食材と 生活備品の買出し。 スーパーの大型カート2台が買物で山盛りになり、支払い額はナント 8万円(700ドル)を超えた。 驚いたことにキャンピングカーの収納スペースは広く、 これら買物と日本からの各人装備一式が全て収まってしまった。 その後車は一路東へ、ヨセミテへ・・・。

ハーフドーム(2693m)登頂

 ヨセミテバレーの入口にはトンネルビューという絶景ポイントがある。 正面左には世界最大の花崗岩 一枚岩エルキャピタン、右にカセドラルロックと花嫁のベールの如く流れ落ちるブライダルベール滝。 正面奥には立てた卵を半分にしたような奇妙な岩峰ハーフドームが聳えている。      私たちは先ずヨセミテのシンボルとも言えるハーフドームの登頂を試みる。ガイドブックによると、 距離:往復27.4km、標高差:1463m、所要時間:10〜14時間とのことだ。
ハーフドーム へさあ出発   ハーフドームへの稜線を行く       6月29日、登山口のハッピーアイル駐車場までキャンピングカーを移動し、全員ヘッドランプの光 を頼りに歩き出す:4.30   
 マーセード川を遡って行くうちに、空は徐々に白味を帯び、薄黒く聳える 岩峰が浮かび上がってくる。 暫く行くと切立った一枚岩を流れ落ちる滝が現れる。 コンクリートダムの様に端正な自然壁を流れ落ちるバーナル滝(落差97m)だ。 マーセード川は ヨセミテバレーを形作った川で水量が多い為、その水しぶきを登山者が浴び易い。 そこでこの道を ミスト(もや・かすみ)トレールと呼んでいる。 
    川を遡って行くと次の壁が見えてくる。更に巨大な ネバダ滝(落差181m)だ。 岩壁の上から噴き出した水は、途中の斜面に激しくぶつかり、轟音と巨大な 飛沫を吹き上げる大変迫力のある滝だ。 滝の上まであがると、そこは標高1900m程の平坦地:7.20  川の流れも静まり、木々の緑が川面に映る、静かな流れ「瀞」となっている。
 道は次第に川から離れだし、北への斜面を登っていく。 木々の隙間から巨大な坊主頭のような ハーフドームが見え隠れしだす。 一時間ほど歩くと稜線に辿りつき、視界が急に開ける。 右側(北)はヨセミテバレーが深く切れ落ち、対岸の白い岩壁がそそり立っている。  その向こうは3000m級の山々が遠く周囲を取り囲んでいる。 そして前方(西)には巨大なハーフドーム。  目を凝らすとその急峻な壁に垂れ下がる一筋の糸とゴマ粒のような点列。 ハーフドームの核心部を登っている人々だ! 一時間ほどで核心部の取り付き地点に到着:11.00  ここは角度60度ほどの切れ立つ花崗岩壁で100m余の高さがある。 ここに2本のワイヤーロープが 1m巾程に張ってあり、登山者はこのロープを頼りに登下降している。  上り下りの人々は互いに交錯するが、アンウンの呼吸で互いに譲りあいながら少しずつ動いている。

バーナル滝

ネバダ滝

 
 
ハーフドーム上部

拡大写真

 私たちもワーヤーロープに取り付き登り始める。 岩壁は足場が切られておらず滑りやすい為、 勢いロープを強く握る事になる。 約5m毎に敷かれてある木の板に上手く足を乗せている間は、 腕や手を休めることが出来る。 必死の形相で下ってくる人たちもいて、登りには予想以上の時間 がかかった。 約一時間ものロープとの格闘で全員ハーフドームに登頂:12.10 全員無事 登頂出来たことを喜び、互いに硬い握手。 そして、弁当を食べたり、写真を撮ったり、 景色に見とれたり。 皆 頂上で思い思いのひとときを過ごす。  
 
ハーフドーム先端

ハーフドーム頂上で全員登頂
の記念写真
 抜けるような青空の下、ヨセミテバレーは深く切れ落ち、白く輝く岩峰群がその周囲を取り囲ん でいる。 日本には無いヨセミテ独特の自然美を大いに堪能できた。
帰路は往路をそのまま辿り、キャンピングカーの待つハッピーアイル駐車場に帰った:18.30


ジョンミュアトレール(テント泊)

  このトレール(登山道)は自然保護の父といわれるジョン・ミュアを称えたもので、ヨセミテバレーの ハッピーアイルからアメリカ48州最高峰ホイットニー山までの約340kmをつないでいる。 私たちはハッピーアイルからトゥオルミ・ミドウまでの約40kmを一泊二日で歩くことにする。 7月2日4時55分、空が少し白んできたハッピーアイルをO野さん、T雪さん、T澤さん、 M田の4人で出発。 昨夜パッキングを済ませたザックは約15kg位、日本での泊まり山行より 遥かに軽い。 初めの約10km迄はハーフドームと同じ道を行くが、ハーフドームの時より早い ペースで快調に歩く。 8時半 標高2140m(7020ft)の分岐に到着。 ここでハーフドーム路は左、 私たちは右のジョン・ミュア路に入る。 すぐに川を渡渉し右手に曲がり、川沿いを遡っていく。  登山道はしっかりしているが、相変わらず乾燥した土や砂地の埃っぽい道である。樹林帯の中で 視界の効かない道が続く。 しかし高度を上げていくと木々はその背を縮め、間隔を広げていく。  次第に視界が開け、研ぎ澄まされた花崗岩峰が顔を出し始め、素晴らしい景観へと変わっていく。   いつの間にか雲の平のギリシャ庭園を想わせる美しい高原となる。 しばらく行くと左手の丘にキャンプ地が見えてくる。 白い固定テントが10張以上ある大きな キャンプ場、サンライズキャンプ場だ!:14.50  正面右手には管理棟があり、ここで野営の 申し込みをする。 管理人は親切に野営地を教えてくれる。 ここは水道、トイレ、ベアーボックス (熊に食物を与えない為の食料収納庫)など完備し、持込みテントの設営料金はナント無料。  私たちは小高い丘の一角にテントを張る。 ここからは広々としたギリシャ庭園が見渡せる。 美しい針葉樹林の丘、その向うには白く輝くヨセミテの峰々。
白く尖った山が招く   ギリシャ庭園のような中を歩く   切り株をテーブルや椅子にして、冷えたビールでまず乾杯! そしてアルファー米、トン汁、コーヒーなど で楽しい夕食の宴。 真っ青な空、日差しは強いが、カラッとして冷たい3千mのこの地の空気は心地よい。  ただ、蚊が多いのには閉口した。 私は網のフェースガードや網手袋を付け、長袖を一枚重ね着したが、その上から10箇所以上も刺された。 20時半 やっと空も暗くなる。ベアーボックスに食料、残飯、その他 臭いのでる物一切を納める。  そしてテントにもぐり込み、ゆったりとした気分で眠りにつく。
7月3日、4時半起床。簡単な食事を済ませ、サンライズキャンプ場を後にする:6.00 本日も昨日同様の快晴、美しい高原のトレールが続く。 8時半、名も無き小さな湖の畔にさしかかる。 澄み切った空を映す青い湖面に、白い岩峰と美しい森が織り 成す光景は、昔見た北欧の絵葉書のようだ。 この景観に皆感嘆の声をあげる。 道は次第に高原のゆるやかな疎林帯に入り、徐々に高度を下げていく。  私たちは本日の下山口トゥオルミ・ミドウに近づいて来たことを感ずる。  10時50分、向うにS崎さんが見える、すぐ近くにY崎さんも居る。 二人がキャンピングカーを下山口 に回してくれたのだ。 そして冷えた缶ビールを下げて私たちを迎えにきてくれた。 無事下山、全員で喜びの握手。 二人が持ってきてくれたビールの美味しかったこと!   私たちは10分程歩いてわが宿(キャンピングカー)に到着した。


ダナ山(3979m)登頂

ダナ山はヨセミテ公園の東端、シェラネバダ山脈にある高さ4千m程の山である。 私たちは登山口まで のアクセスがよく、手頃な高さの山としてダナ山を選んだ。 120号線のタイオガ峠(2990m)はヨセミテの 東境界にあり、ゲートが設置されている。 ここがダナ山の登山口である。 7月4日、私たちはキャンピングカーをこのゲート横の駐車場に着ける。 

登山道からダナ山を望む
ダナ山の斜面を飾る花々
   今日はストレッチ体操を充分行う。この地点が既に3千m、頂上は4千mもある。酸素は平地より約3割 も少ないので、慎重な行動とペース配分が重要である。 オーダーはトップがM田、続いてS崎さん、 田澤さん、O野さん、ラストはI雪さんにお願いした。
 5時10分まだ薄暗い中を歩き出す。 一時間ほどで樹林帯を抜けるとザレ地となり、草花が多くなる。  所々白い花崗岩が顔を出し、視界も開けヨセミテの山々が明るく浮かび始める。 大きな丘(モレーン帯)を超えると、中央アルプス千畳敷カールのような平坦地にでる。行く手にはダナ山 がドッシリと大きく聳え立っている。 ここから観るダナ山は岩の崩落が進んでおり、崩れた岩石が広く地表を覆うガレ山だ。  歩きにくいガレ場をルートファインディングしながら延々と登っていく。 真っ青な空の下、 シラネバダの美しい山々が次第に浮かび上がってくる。 足元の石の間からは美しい花々が いっぱい顔をだし、まるで岩の花壇を歩いているようだ。

ダナ山頂にて
    黄色いふくよかな花、鮮やかな紫の花、清楚な白い花など・・・。 花の名は分からないが、美しい花々が 頂上間近(3900m以上)まで咲いているのには驚かされた。 10時15分、ダナ山頂到着。 快晴・微風、360度の絶景だ! 皆、無事登頂できたことを喜び合い、固い握手。 そして昼食と寛ぎのひととき。 東にはコバルトブルーに輝く円いモノ湖、その遥か先にはロッキー山脈の峰々も微かに望まれる。  南は残雪に輝くシェラネバダの美しい山々。 西はヨセミテの岩峰群が続いている。 今日は独立記念日、山頂で寛いでいると現地人が何組か登ってきて、歓喜の声を上げている。 山頂で皆仲良くなり写真を撮ったり、カタコト英語で語り合ったりの国際親善。  一時間余 山頂にとどまり、登頂ノートに各自サインした後、名残惜しみつつ山頂を後にする。 下山は南寄りのしっかりした踏跡のルートを下る。上りの時のような美しい花々が少ないので、 その分ペースが速まる。 私たちは快調に下り、登山口で私たちを待ち受けるキャンピングカーに 到着した:13.50  皆は予定していたヨセミテの主な山々を歩き終えた満足感に浸り、互いの健闘を称えあった。
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4マイルトレールにて           グレーシャーポイントからの眺め
  その他のハイキング
4マイルトレール
ヨセミテバレーの底から展望地グレーシャーポイントまでの7kmほどのトレール。 エルキャピタンやヨセミテ滝など豪快な眺望の連続で、時間の経つのも身体の疲れも忘れさせてくれる。  グレーシャーポイントはヨセミテバレーの中心に聳える展望台で、ヨセミテの多くの滝や岩峰を望むこと が出来る。 ただ、自動車道が来ている為、観光客の賑わいには驚かされる。

ミラーレイクからの眺め           ゴールデンゲートブリッジにて
 
ミラーレイクトレール
静かな鏡面(ミラー)湖への散策コース。ゆっくり歩いても2時間ほどで往復できる。   今回は湖の水位が下がり所々地肌が現われていたが、静かな湖面に映る岩峰群と木々の緑の ハーモニーが美しく印象的であった。

 ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を歩く
サンフランシスコのシンボルである金門橋を歩いて渡った。 橋の全長は2.8km、その両岸にある駐車場の 間を歩くことになる。 ここは霧の都として有名だが、特に金門橋上は地形的にも風が強く霧に包まれ易い とのことだ。 私たちは防寒着や手袋をつけ、サンフランシスコ側から歩き出す:18.00   塩分を含んだ風が太平洋側から絶え間なく吹き付ける。 橋柱の上部は霧の中に隠れている。  海面はかなり波立ち、その上を白いカモメたちが悠然と飛んで行く。 橋からの眺めを楽しんだり、思い思いに写真を撮ったり、たっぷりと時間をかけて渡る。 約1時間後、先回りして待つキャンピングカーに到着。用意してくれたコーヒーの美味しかった こと!
                                        【記録  M田 I】

参加者のコメント
Y崎M一
ヨセミテトレッキングは毎日快晴で美しい風景・草花を見ながら大自然の中を歩き回った。 又、夜は野外での楽しい宴会と、毎日が素晴らしいものでした。 特に印象に残るトレッキングは、ハ−フド−ムとダナ山でした。 ハ−フド−ムは巨大な1個の岩山で、一番の難所では勾配60度、高さは約120mとの事。 山頂では、断崖で両手を挙げてガッツポ−ズで写真を撮ってもらうが、高度恐怖症の私は、 足がガタガタ震えていた。 ダナ山は標高3979mで富士山より少し高い山だ。 残雪あり、美しい花あり、 絶景あり、山頂では若い陽気なアメリカ人達とのコミュニケ−ションもありました。 キャンピングカーを利用したトレッキングは、居住性と機動性(移動性)を存分に発揮でき、正に文明の利器 とワイルドを組み合わせた魅力的な手段であった。 この計画を立案された森田・今雪両氏とスタッフの O野・T澤さん、更に主に運転して頂いたY崎さんには大変お世話になり、ありがとうございました。  最後に2週間にも及ぶ共同生活をするなかで、最も大切なことは「協調性と相互協力」であったと思う。  ベストフレンドに改めて乾杯!


 O野R司
 約7万年前は厚い氷河に覆われていたというヨセミテ渓谷は、氷河の彫刻した巨大な岩峰、多くの滝、 氷河の名残湖、木々の緑、広いバックカントリーと・・・美しい自然に溢れている。 私たちは約10日もの キャンピングカーでの寝食移動により、広くヨセミテの大自然に触れ、その魅力を大いに堪能できた。  100%計画通りに行動できたことは、何よりお天気に恵まれたことと、良き仲間に恵まれたことに尽きる。 良き仲間たち、ありがとう!


 T澤S江
どこまでも青い空と雄大なヨセミテの自然、快適なキャンピングカーを駆使しての登山&トレッキング。  ハーフドーム、フォーマイルトレール、ジョン・ミュアトレール、ダナ山と無事完歩出来て満足です。  どの山も個性的でしたが、とくに最後に登ったダナ山は景観も花もすばらしく、富士山より高い山ですが、 登り始めから色とりどりの花が山頂付近まで咲き、高度とともに花の種類が変わっていくのに感動しました。  お仲間に入れていただき、力不足の私をフォローしてくださった皆様に感謝します。


I雪M夫

 キャンピングカーによるヨセミテ国立公園の登山&トレッキングは大自然の景観を堪能するにはもってこい。 機動力は抜群であった。 それにもましてヨセミテの自然に身を置くと、ひとりでに足が前に進み、 紺碧の空、白い岩山、緑の木々、青い湖、色とりどりに咲き乱れる花々が心に感動を与え、時の経つのを 忘れさせてくれた。


 M田 I
 RVパークの充実したアメリカではキャンピングカー生活は殆ど不自由さを感じさせない。 そして何よりトレッキングには大変便利なことが分かった。 来年も同じ頃(梅雨時)にロッキー山脈 あたりのトレッキングを計画したいと考えています。                                以上


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